テレビなどでサプリメントのコマーシャルを見ていると、”EPA(イコサペント酸)”という言葉がよく出てきます。
EPA(イコサペント酸)とは、人間が生きていくうえで必要な脂肪酸の一種で、青魚や海藻などに多く含まれています。
EPAはその抗動脈硬化作用により、脳梗塞、心筋梗塞の発症リスクを低下させるほか、中性脂肪低下・血糖値低下・悪玉コレステロール(LDL)低下・善玉コレステロール(HDL)上昇作用、脂肪肝の予防などの効果があります。その他にも不整脈予防、抗うつ作用、美肌効果などもあると言われており、今、医療現場でも大変注目されています。
<EPA/AA比(イコサペント酸/アラキドン酸比)>
近年、食生活の欧米化により、現代人はアラキドン酸(AA)を摂りすぎていると言われています。
アラキドン酸は植物油(紅花油、マーガリン、マヨネーズ)や動物性脂肪(ラード、豚肉)に多く含まれる脂肪酸です。本来は人間にとって大切な成分ですが、摂取過多になると動脈硬化の原因となり、心臓病や脳卒中のリスクを高めたりします。
EPAはアラキドン酸の悪い作用をブロックする効果があるため、心筋梗塞や脳梗塞をおこす率を低下させます。2つの脂肪酸(EPAとアラキドン酸)のバランスが健康維持のために重要で、この2つの脂肪酸の比率のことをEPA/AA比と言います。EPA/AA比の理想的な比率は0.75以上と言われていますが、日本人のEPA/AA比は年令が若いほど低下傾向にあり、今の若者は0.2ぐらいしかありません。
<EPAを病院で処方してもらうには・・・>
様々な効果が期待できるEPAですが、
●高脂血症(中性脂肪、コレステロールが高い方)
●痛みや冷感を伴う閉塞性動脈硬化症
と診断された方のみ保険適応でEPAを処方することができます。
大ビル湯徳医院では主に持田製薬鰍フ”エパデール”を処方しています。
<サプリメントのEPAより処方薬のEPAの方が良い理由>
@市販のサプリメントより処方薬のEPAは高純度のEPAを摂取できる。
なおかつ処方薬はサプリメントより不純物が少ない。
Aサプリメントと同量のEPA飲んだ場合だとコストが安くて済む。
BEPAは主にイワシなどの青魚を原料に作られていますが、持田製薬のエパデールは精製の段階でダイオキシンなどの環境汚染物をしっかり除去してるので安心して服用できます。
■留意点■
血をサラサラにする効果があるので、出血傾向のある方には使用できません。
<EPAはどのくらいとればいいのでしょうか?>
生活習慣病を予防するために、日本人のEPAなどのn-3系脂肪酸「摂取量」が厚生労働省より設定されています。
望ましいEPA及びDHAの1日あたりの摂取量
年齢(歳) | 男性目標量 | 女性目標量 |
18〜29 | 2,000mg以上 | 1,600mg以上 |
30〜49 | 2,100mg以上 | 1,600mg以上 |
50〜69 | 2,400mg以上 | 2,000mg以上 |
70以上 | 2,200mg以上 | 1,900mg以上 |
厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2015年度版)」
日本人の食事摂取基準では目標量の下限が設定されており、EPA及びDHA(ドコサヘキサエン酸)を1000mg/日以上、魚に換算すると約90g/日以上の摂取が推奨されています。
農林水産省/脂質による健康影響(2010年版)より
1日にEPA 1,800mgを摂取するには
摂取方法 | 1日あたりの 分量 |
問題点 |
魚 | サバの切り身 ×2切れ 1切れ60g前後 |
● 他の脂肪分なども同時に摂取してしまう カロリーオーバーの恐れ ●アレルギーや好き嫌いがある |
栄養補助 食品 |
約18粒〜50粒 EPA健康食品の14銘柄の平均 |
●大量の錠剤を服用する必要がある ●長期間服用する場合、経済的負担が大きい ●他の脂肪酸などが多く含まれるものがある |
エパデールS900 | 1日2回 食後 | ●主な副作用として、発疹、かゆみ、貧血、悪心、腹部不快 感、下痢、腹痛、胸やけなどがある。 |
4月も半ばを過ぎ、検診車をよくみかけるようになりました。
春は会社の健康診断の季節です。
会社健診の主な項目
・血液検査・尿検査・胸のレントゲン・心電図・血圧測定・医師による診察
(*会社や年齢によって項目は異なります。)
健診を行う目的
・生活習慣病(高血圧症・高脂血症:コレステロールや中性脂肪の異常・糖尿病)を早期の段階で 発見し、重症化する前に治療や生活指導行い、社員の健康を守ること。
しかし、残念ながら健診で異常を指摘されてもそのまま放置する方も多数おられるのが現状です。
生活習慣病のなかでも「高血圧」は、国内に4300万人いると試算されている国民病です。
今までふつうに生活をしていたのに急に「治療が必要です」と言われて、戸惑う方も多いでしょう。
ではなぜ、「高血圧」は放置してはいけないのでしょうか。
<高血圧の危険性>
血圧とは心臓から全身に送り出された血液が動脈を流れる際にかかる圧のことです。
この圧がいと血管が傷みやすくなり、その傷みを放置しておくと、血管が硬くなったり、脆くなったり、詰まったりして「脳卒中」「心筋梗塞」「心不全」「大動脈瘤」「慢性腎臓病」「認知症」といった重篤な病気を引き起こします。
高血圧は自覚症状がないことが多いため、”サイレントキラー(静かなる殺人者)”と呼ばれています。しかし、血圧をきちんとコントロールすれば合併症を減らすことが出来ることも分かって来ています。
<高血圧の診断基準>
医療機関で測った時の血圧が
収縮期血圧(上の血圧) 140oHg 以上 または
拡張期血圧(下の血圧) 90oHg 以上
超える方は高血圧と診断され、治療が必要になります。
ただし、75歳以上の人は少し高めでもよく、反対に糖尿病や慢性腎臓病がある人は、より厳密に下げる必要があります。
高血圧の治療目標値
診察室血圧 | 家庭血圧 | |
若年、中年、前期高齢者 | 140/90oHg未満 | 135/85oHg未満 |
後期高齢者 | 150/90oHg未満 | 145/85oHg未満 |
糖尿病患者、慢性腎臓病患者 | 130/80oHg未満 | 125/75oHg未満 |
脳血管障害患者、冠動脈疾患患者 | 140/90oHg未満 | 135/85oHg未満 |
<高血圧の要因>
生活習慣に起因するものが原因として多くあげられますが、なかには特殊な原因に起因する高血圧もあります。
<高血圧の治療法>
高血圧は生活習慣病と関係しているので、血圧を下げるためには生活習慣を見直して、これらの要因を1つずつでも改善していくことが大切です。そのため、いきなり薬の内服による治療を開始するのではなく、まずは生活習慣の改善を行い、高血圧になった背景を見直すことが重要です。
生活習慣やその他の原因を精査したうえで、血圧がうまく下がらなければ降圧剤の服用をお勧めし、薬物療法を開始します。
その際は、自宅で測る家庭血圧測定が重要になってきます。
月に1回、診察室で血圧を測定しても、それでは十分な情報が得られるとはいえません。医療機関での測定は日常生活とは異なる状況で行われるので、普段の血圧を反映していないことがあるためです。
糖尿病、高脂血症の方は血液検査を行わないと治療がうまくいっているか分かりませんが、高血圧の方は、自宅に自動血圧計を購入し、測った値を「血圧手帳」に記録し、受診の際に見せて頂けると治療がうまくいっているかどうか分かります。また、自分で測る家庭血圧は、普段の血圧がよく分かるため、次のような高血圧の発見にも役立ちます。
◎白衣高血圧…診察室で高くなるタイプ
◎仮面高血圧…日常生活で上がるタイプ
◎早朝高血圧…朝の起床時に上がるタイプ
<高血圧治療薬の種類>
高血圧の薬には多くの種類があり、主なものは次の5つです。
当院ではジェネリック薬も処方しています。お気軽にご相談下さい。
◆血管の収縮を抑えるタイプ
◆血液量の増加を抑えるタイプ
病態や検査の値を見て、適する降圧薬を選択し、降圧目標を目指しますが、単剤で降圧目標を達成することができない場合には作用の異なる薬を追加し、併用を試みます。
<高血圧の治療は、根気よく>
高血圧の治療は長期間にわたってずっと続けていくものです。あまり神経質になって、治療自体がストレスになってはかえって逆効果です。
生活習慣の改善や治療を日常に取り入れ、継続して実践できるように取り組みましょう。
困ったことや、悩みごとがある時は遠慮なくご相談ください。
現在日本人の4人に1人は花粉症と言われています。
症状が強い方には、本格的なシーズンに入る前に初期療法(花粉が飛び始める前、もしくは症状が軽いうちに治療をはじめること)をされることをおすすめします。
初期療法を行うことで、
・花粉症の発症が遅くなる
・症状が軽くなる
などの効果が期待できます。
<花粉症の原因>
スギ・ヒノキの春の花粉に対するアレルギー反応が有名ですが、それら以外にも花粉症の原因になる植物は約50種類以上あり、初夏のイネ科植物、秋のブタクサ・ヨモギなど、年間を通して様々な花粉が飛んでいます。
花粉が原因ではない免疫反応を引き起こすものとして、ハウスダスト、ダニ、ペットの毛やふけ(1年中)・黄砂やPM2.5(おもに春)があげられます。
<花粉症の症状>
鼻の症状(くしゃみ・鼻水・はなづまり)、目の症状(かゆみ・涙・充血など)の場合が多く、そのほかにのど・耳・皮膚のかゆみ、のどの痛み、口が渇く、さらには咳・くしゃみ・喘息のような呼吸症状を伴うことがあります。
<花粉症対策>
・原因となるアレルゲンを知ること
(血液検査で原因となるアレルゲンに対する抗体を知ることができます)
・アレルゲンをできるだけ体に入ってこないようにする注意や工夫をする
<花粉症治療薬の種類>
いちばんポピュラーなのは抗ヒスタミン薬という抗アレルギー剤です。抗ヒスタミン剤の服用では効果が十分でない方や、何らかの理由で抗ヒスタミン剤が服用できない方にはほかの抗アレルギー剤や漢方、点鼻薬(鼻の中にスプレーする薬)、点眼薬への変更や併用を行います。
@抗ヒスタミン剤
くしゃみ、鼻水、目のかゆみなどを引き起こすヒスタミンの作用をブロックします。
など多数あり
Aロイコトリエン拮抗剤
鼻づまりの原因となる鼻粘膜の腫れを引き起こすロイトコリエンが、免疫細胞から放出されるのを抑制する薬。鼻づまりを改善する効果が期待できる。
B抗ヒスタミン剤と鼻充血を改善する成分を配合した薬剤
C少量のステロイドを含む抗アレルギー剤
D漢方薬
など
E点鼻剤
F点眼薬
飲み薬によってよく効く症状が違うため、自分の症状のタイプを知って症状に合わせた治療をしてもらうことが大切です。
<花粉症のサイト>
・花粉なう 花粉症・アレルギー性鼻炎情報サイト
http://www.kafun-now.com/
・花粉症ナビ
http://www.kyowa-kirin.co.jp/kahun/
インフルエンザの予防は、予防接種(=ワクチン)・手洗い・うがい・マスクなどがあげられますが、100%予防するのは困難です。この時期、急な発熱、関節痛の症状が出現した場合、インフルエンザの発症が疑われます。
インフルエンザの診断をするには鼻またはのどの粘膜を採取して行う、簡易検査キッド(*図1)を用いて行います。10分程度で判定可能ですが、インフルエンザ発症後すぐには検査が陽性にならないことがあり、注意が必要です。
簡易検査キットの正常な結果を得るのに必要な時間ですが、はっきりとした効果が出るまでには発症後12時間が必要と言われています。
抗インフルエンザ薬が効果的に作用する時間は、発症後48時間以内に飲まないと効果がないといわれています。
現在インフルエンザの治療薬として、タミフル(内服薬)、リレンザ、イナビル(吸入薬)、ラピアクタ(点滴)があります。
いまの保険制度では、病気の治療のみ可能で、保険を使用した予防投与は認められていません。
タミフル・リレンザ・イナビルの薬剤は予防投与が認められていますが、予防投与に関しては全額自費扱いになります。
学校保健法では、2012年4月1日より、インフルエンザの出席停止基準が変更されました。
『発症した後5日を経過し、かつ解熱した後2日を経過するまで』登校を控えるように定められています。
*ただし、病状により学校医その他の医師において感染の恐れがないと認めたときは、この限りでない。
「発病した日」「解熱した日」がそれぞれ起算日(0日目)となります。
これは、治療薬の効果による解熱後も感染の可能性が残ることから集団生活に戻ることによる流行の拡大を防ぐため、また確実な回復に努めるため、などの考えに基づいています。
しかし、会社では明確な規定はありません。
平成26年10月1日より成人用肺炎球菌ワクチンの一部公費負担が開始となりました。
この制度では、今まで肺炎球菌ワクチンを接種したことがない方を対象に、平成30年度までの間に1人1回、定期接種の機会を設けています。
対象となる年度においてのみ、定期接種としての公費助成が受けられます。
今年度の定期接種対象者は、
○平成28年4月2日生〜平成29年4月1日生までに65歳、70歳、75歳、80歳、85歳、90歳、95歳、100歳の方。
○満60歳以上65歳未満の方で、心臓・腎臓・呼吸器の機能障害・ヒト免疫不全ウィルスで日常生活が困難な障害を有する人で、身体障害者手帳1級もしくは同程度の方。
肺炎球菌は肺炎の原因となる菌で、成人肺炎の約3割がこの菌によると言われています。
肺炎球菌ワクチンは、肺炎球菌による肺炎などの感染症を予防し、また重症化を防ぎます。
若い方が肺炎にかかっても、適切な治療を受けることにより、死亡することは滅多にありませんが、65歳以上の方の死因の第3位を肺炎が占めてます。(1位
がん、2位 心臓疾患)
これは高齢になると、肺炎にかかっても初期には症状が出にくい・免疫力が低下しているので重症化しやすい・合併症を併発しやすい為です。
成人用肺炎球菌ワクチンの接種により、肺炎にかかる発症率を下げ、重症化を防ぐことが期待できます。
肺炎球菌ワクチンは、毎年接種するインフルエンザワクチンとは異なり、1回の接種により予防効果は5年間持続すると言われています。
感染性胃腸炎(流行性嘔吐下痢症)はウィルスなどが原因となって発症する胃腸炎のこと。
症状は、下痢・嘔吐・吐き気・腹痛・発熱など。
潜伏期間は1〜2日
通常1〜3日症状が続いた後、回復します。
毎年12月から2月頃、感染性胃腸炎が多く発生します。ウィルスを消滅させるような特効薬はないため、嘔吐・下痢によってウィルスを排出しなければなりません。症状を軽減するための処置(対症療法)が行われます。脱水を防ぐために水分の補給が大切です。
感染者の糞便や嘔吐物に排出されたウィルスは、乾燥すると空気中に漂います。10〜100個の少ないウィルス量でも発症します。そのため、感染者の糞便や嘔吐物の適切な処理が大事です。
<具体的な処理・消毒のポイント>
○ビニール手袋・マスク・ガウンを着用し、処理し終わったら手袋をはずし、石けんでよく手を洗い、うがいをしましょう。
○ノロウィルスの消毒には塩素系漂白剤が有効です。消毒用アルコールや逆性石鹸はあまり効果がありません。
○ノロウィルスは乾燥すると容易に空中に漂い、これが口に入って感染することがあるので、嘔吐物や糞便は速やかに処理することが感染防止に重要です。
<塩素系漂白剤希釈方法>
一般的に市販されている家庭用塩素系漂白剤の塩素濃度は、約5%です。
塩素濃度約5%のものを利用した場合の濃度10倍の希釈液の作り方は、
@水道水 500t(500tペットボトル1本分)+ A家庭用塩素系漂白剤 50t
<糞便や嘔吐物で汚れた衣類など>
□50倍に薄めた家庭用塩素系漂白剤を浸したペーパータオル・布等で汚物を取り除いた後、50倍に薄めた家庭用塩素系漂白剤に30分程度つけこむ。*衣類の色が落ちることあるので注意してください。
□他の衣類とは分けて洗う。
<嘔吐物などで汚れた床>
□10倍に薄めた家庭用塩素系漂白剤を浸したペーパータオル・布等で嘔吐物を覆い、(できれば5分位おく)、外側から内側にむけて、拭き取り面を折り込みながら静かに拭き取る。
□拭き取りに使用したペーパータオル・布等は、ただちにゴミ袋に入れ、10倍に薄めた家庭用塩素系漂白剤を入れ、消毒・密閉し廃棄する。
□嘔吐物が付着していた床等は、周囲を含めて10倍に薄めた家庭用塩素系漂白剤を浸したペーパータオル・布等で拭き、消毒をする。
□窓を開けるなどして換気を十分にする。
<トイレの取っ手・トイレドアのノブ・トイレの床など>
約250倍に薄めた家庭用塩素系漂白剤を用いて拭く。(塩素系漂白剤は、金属腐食性があるので、拭き取り部位が金属の場合は、30分程度おいた後、水拭きをする。)
〒530-6105
大阪市北区中之島3-3-23
中之島ダイビル5階
TEL 06-6445-0934